引っ越しをするとき、個人事業主としての住所変更手続きは何かと注意が必要です。
日常生活の手続きに加えて、税務署などへの届出が必要になるため、事前にしっかり準備をしておくことが肝心と言えるでしょう。
具体的には「個人事業の開業・廃業等届出書」や「所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書」といった書類を提出するタイミングや、必要書類の内容を確認しておくと安心ではないでしょうか。
ただ、他にも引っ越しに伴う国民健康保険や年金の変更なども必要で、忙しいと忘れてしまうこともあるかもしれません。
そこで、この記事では個人事業主の住所変更(引っ越し)手続きと必要書類について詳しく解説します。

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個人事業主が引っ越し・住所変更で必要な手続きとは?
まずは、個人事業主が引っ越し・住所変更で必要な手続きについて見ていきましょう。
住所変更に必要な書類と手続き方法
住所変更をする際に必要な書類や手続きの方法について知っておくことはとても大切です。
主に重要となる書類として、「個人事業の開業・廃業等届出書」があります。
この書類には旧住所と新住所を正確に記載する必要があります。
確定申告時に基礎資料として使うことになるので、きちんと準備したいです。
それから、住民票の移転記録も添付書類として必要になることがあり、忘れてしまうと手続きが滞ってしまうこともあるからこそ、しっかりと準備しておくと良いでしょう。
税務署への届け出方法と注意点
税務署への届け出は、引っ越し後に欠かせない大事な手続きの一つです。
住所が変わった場合には「所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書」の提出が求められます。
届出書は新しい住所や納税地を記入する必要があるため、間違いがないよう記入例を参考にすると安心です。
必要に応じて振替納税に関する記入が必要になる場合もあるので、書類作成時にはよく確認することをおすすめします。
確定申告に影響する住所変更のポイント
住所変更により納税地が変わると、申告書の提出先が今までと変わることがあります。
そうなると必要な書類や手続きに若干の変更が出てくるかもしれません。
青色申告や白色申告をしている方は正確な住所情報が求められるため、あらかじめ確認しておくことが重要です。
控除や還付金の手続きにも影響が出るので、あわせて注意しておくと良いでしょう。
なお、確定申告書に記載する情報も、新しい住所をもとにして間違いのないようにすることが大事になってきます。
いざ申告の段階で手続きがうまくいかないと焦ってしまうからこそ、事前にチェックを進めておくことが安心に繋がるはずです。
引っ越し時に税務署へ提出する届出書の種類
次に、引っ越し時に税務署へ提出する届出書の種類について見ていきましょう。
個人事業の開業・廃業等届出書
個人事業の開業・廃業等届出書は、事業所の住所が変わった場合に必要となる書類です。
この書類には、旧住所と新住所を記載して提出する形になります。
また、移転日から1ヶ月以内に所轄の税務署に提出することが求められるため、早めの対応がおすすめです。
提出を忘れたり遅れてしまうと、手続きが思いのほか煩雑になることもあるので、ご注意ください。
書き方のポイントとしては、申請者の氏名や事業内容に加え、移転前後の住所をわかりやすく記入することが求められます。
新住所の記載は間違いやすいからこそ、何度も確認しておくと良いでしょう。
必要に応じて添付書類の準備をしておくのも良いかもしれません。
開業届や廃業届の記入例がわからない場合は、税務署のウェブサイトで提供されているガイドラインやサンプルを参考にすると、初めてでも手続きが進めやすくなります。
初めてこうした届出を作成する際には、やり方がわかりにくくて不安に感じやすいからこそ、内容をチェックしながら進めるのがおすすめです。
所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書
所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書は、納税地変更をする際に必要になる大切な提出書類です。
手続きは、新しい納税地を管轄する税務署に届け出る形で進められます。
書類の提出方法としては、郵送や税務署窓口での提出のほか、最近ではe-Taxのようなオンラインシステムを使う選択肢もあるため、自分にとって負担のない方法を選ぶと良いです。
個人事業主にとっては次回の確定申告に新しい納税地の情報を反映させるためにも、時間がある時に取り組んでおくことを推奨します。
振替納税を利用中の事業主の追加手続き
振替納税を利用している個人事業主は、新しい納税地の税務署で「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」を提出しなければいけません。
この手続きをすることで、新しい税務署でも従来通りに振替納税が同じ口座から自動的に行われます。
もし手続きを代理人にお願いする場合は、代わりに処理してもらうための委任状なども必要になることがあるので、計画的に進めておくと安心です。
引き続き同じ銀行口座を使用する場合は、その情報に変更がないかを一度確認しておくとより安心でしょう。
国民年金や労働保険等の住所変更手続きの流れ
次に、国民年金や労働保険等の住所変更手続きの流れについて見ていきましょう。
国民年金と国民健康保険の変更手続き
国民年金や国民健康保険の手続きでは、住所変更が必要です。
市区町村役場で住民票を更新するのが基本で、その際に国民年金と国民健康保険の書類を一緒に持っていくとスムーズに進められます。
手続きの方法としては、必要書類を揃えて窓口で相談すると良いかもしれません。
なお、国民年金は据え置きで良いですが、国民健康保険の保険料は新しい住所に合わせて計算されることがあるため、すぐに済ませておくことが肝心です。
後から混乱しないためにも、時間がある時に済ませておくことをおすすめします。
手続きは期限が設けられていることがあるので、頃合いを見て手続きしておくと良いでしょう。
従業員を抱える場合の社会保険関連手続き
従業員を抱える事業主が引っ越しを行う場合は、事業所の住所が変わるため、それに応じた手続きを行う必要があります。
例えば、健康保険や厚生年金保険の事務所へ住所変更の届出を行うことや、従業員それぞれの加入状況に合った提出書類を準備することが必要です。
手続きがスムーズに進まないと社会保険料の計算に影響が出てしまうこともあるので、極力迅速に済ませておくことが求められるでしょう。
手続きの具体的な内容や方法については、日本年金機構だけでなく、国税庁のサイトなども参考にしてみると良いかもしれません。
e-Taxを活用した手続きのやり方
次に、e-Taxを活用した手続きのやり方について見ていきましょう。
e-Taxを利用する際に必要な書類と申請方法
e-Taxを利用する際は、まず必要書類をしっかり準備しておくことが重要です。
確定申告の準備で必要になる書類には、収入に関する証明書や経費の領収書、そして各種控除に関連する書類が挙げられます。
青色申告をする場合は、青色申告決算書や損益計算書、貸借対照表を忘れずに用意しておくと安心でしょう。
加えて、e-Taxを利用するにはいくつかの事前準備も欠かせません。
例えば、税務署で利用者識別番号を取得したり、電子証明書を登録したりといった手続きが必要になるため、早めに対応しておくと後が楽に感じられるでしょう。
また、マイナンバーカードを持っている場合は、マイポータルを活用する方法もあります。
こうした準備が整ったら、必要書類をデジタル化してe-Taxに入力を進めるのが主な流れです。
ちなみに、どうしてもオンラインに慣れていない方やe-Taxの操作が負担に感じる場合は、郵送という方法も選択できます。
ただ、e-Taxを活用すると手続き自体が効率的になり、書類提出後に受付確認メールが届いたり、申請が受理されたことが確認できたりと何かと便利だからこそ、一度挑戦してみるのがおすすめです。
e-Taxで確定申告するメリット
e-Taxを活用すると、確定申告がオンラインで完了するため、税務署へ行く手間が省けるのが嬉しいポイントです。
日々忙しい個人事業主にとって、この手軽さだけでも魅力と言えます。
青色申告の手続きも手軽に進められるので、事務作業の負担も軽減できるのではないでしょうか。
また、申告手続きの内容がe-Tax上で記録として残るため、「何をやったか忘れてしまった…」なんて心配もなくなるのが安心です。
通知メールで進捗状況を確認できるのも便利なポイントと言えます。
それから、e-Taxを活用することで税金の還付金を直接受け取れるのも便利でしょう。
従来の方法に比べて対応のスピードが早いからこそ、資金繰りにも役立つのではないでしょうか。
何より移動などで時間を取られないのがありがたいです。
青色申告をしている方などは事務作業がどうしても多くなりがちなので、少しでも効率化できると助かりますよね。
開業届を再提出する際の正しい書き方
次に、開業届を再提出する際の正しい書き方について見ていきましょう。
開業届の再提出が必要なタイミングと期限
開業届の再提出が必要になるタイミングとしては、事業所を引っ越した時や事業内容を変えた時となります。
個人事業から法人に形を変えた時も必要です。
こういった場合には新しく開業届を出さなくてはいけません。
なお、再提出の期限は「変更があった日から1ヶ月以内」という決まりがあります。
提出書類を準備する際は書き方が合っているか不安になることもあると思いますが、必要な部分を押さえていれば、それほど難しくはないです。
開業届に関する基本的な注意点
開業届を再提出する際は、届け出る内容が正確か確認することが大切です。
例えば、住所や事業名、さらに連絡先などが変更されている場合、それをそのままにしておいてしまうと、後で税務手続きがスムーズにいかなくなる可能性があります。
必要な添付書類も忘れないようにしましょう。
なお、申請書類の記入欄には変更の理由を説明する部分も含まれているため、誰が見てもわかりやすい形で整理しておくことが大事です。
提出先についても間違えると面倒なので、よく確認しておくことを推奨します。
freeeを使用した開業届作成の手順
freeeを使えば、開業届を簡単に作成する方法があります。
- アカウントを登録してログインする
- 「開業届」という機能を選んで進める
- 入力フォームに沿って事業内容や所在地、連絡先などを入力する
- 記入が終わったら、画面の案内に従って内容をチェックする
入力が完了したら、印刷もしくは電子申請を選ぶだけです。
freeeを利用することで申請後の進捗状況をチェックすることもできるため、手続きを進めるうえでちょっとした安心感が得られるのではないでしょうか。
この機能を活用すれば再提出が必要になった場合でも従来の方法より手間を省いて進められるので、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。
海外への引っ越しに伴う手続き
次に、海外への引っ越しに伴う手続きについて見ていきましょう。
納税地変更の注意点と特例制度の仕組み
海外に引っ越す場合は「納税地の異動届」を税務署に提出する必要があります。
この手続きをすることで、引っ越し先の税務関係がスムーズに進みやすくなる他、国外での生活が長期間にわたる場合は日本での納税義務が緩和される特例を適用することが可能です。
ただ、これは滞在期間や現地の法律に基づいて判断されるので、一概に適用されるとは限りません。
日本国内での業務形態や収入状況によっては、追加で届け出を求められる場合もあるからこそ、トラブルを回避できるよう漏れなく手続きしておくことが求められるでしょう。
海外での開業届の提出が不要になるケース
海外で事業を始める際、開業届の提出が不要になる場合があります。
例えば、現地での活動が短期間で、さらにその国での納税義務が発生しないような状況なら、手続きを省くことが可能です。
日本での納税義務が一時的にストップしていて、移転先の国でも財産や権利の所有を伴わない場合は、開業届を出さなくても良いとされています。
ただ、これらの点は国ごとに税務署や法律の規定が違ってくるからこそ、現地の税務署や関連機関に確認してみたほうが安心です。
住所変更と手続きをスムーズに進めるためのポイント
最後に、住所変更と手続きをスムーズに進めるためのポイントについて見ていきましょう。
手続き効率化のための事前準備のコツ
手続きの効率を良くするためには、事前準備が大事です。
必要なものが揃っていなかったりあちこちで書類を探し回ったりするのは、引っ越しや開業などの場面では避けたいため、まずは手続きをスムーズに進めるために各機関のウェブサイトをチェックして必要な書類を確認しておくことをおすすめします。
ダウンロードや印刷が必要な書類を事前に揃えておくのも一つの手です。
書類整理が苦手な場合は、専用のファイルやクリアフォルダにまとめて保管します。
手続きを見逃さないためのチェックリスト作成
手続きを見逃さないためには、チェックリストを作成するのが便利だと思います。
引っ越しや新しい環境への移行では、手続きや準備する持ち物が多くて混乱しがちです。
例えば、住所変更に伴う税務署での開業届の提出や社会保険の変更手続き、さらには電気やガス、水道といった公共料金の名義変更をリスト化しておくことで、やるべきことを整理しやすくなるかもしれません。
期限を設定すれば、慌てて後回しにしてしまうことも多少防げるのではないでしょうか。
すべてをリスト化しておけば、一つ終わるごとにチェックを入れる楽しみもあって進捗を簡単に確認できるでしょう。
まとめ
住所変更に伴う手続きは、個人事業主にとって手間がかかるものですよね。
ただ、きちんと準備して進めると意外とスムーズにいくこともあります。
例えば、e-Taxなどを使ってデジタルで手続きを進めたり、事前にチェックリストを作ったりすると、ちょっとした負担軽減につながるかもしれません。
引っ越しの場合は、国内だけでなく海外など現地のルールを理解しておくとより安心です。
何かとたくさんやることがあって大変ですが、ゆっくりと整理しながら進めていけばスムーズに手続きできます。
