保育園の開業準備費用とは?必要な資格や想定年収なども解説

保育園を開業するためには、準備と費用について知ることが重要です。

しかし、いざ開業しようと思っても具体的に何から始めればいいかわからない方もいるのではないでしょうか。

この記事では保育園の開業準備費用をはじめ、必要な資格や想定年収なども解説します。

保育園開業を考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

保育園の主な種類は?

まずは、保育園の主な種類について見ていきましょう。

認可保育園

認可保育園とは、地方自治体により設置が認められた施設で、国の基準に基づき建物の規模や保育士の配置、保育内容などが厳格に定められている保育園です。

そのため、保護者からの信頼を得やすいという特徴があります。

●信頼性の高さ

認可保育園の具体的な特徴としては、信頼性の高さが挙げられます。

認可保育園は国と自治体による厳しい基準をクリアしているため、安心して子供を預けることができると認識されやすいです。

●安定した資金援助

認可保育園は安定した資金援助を受けられます。

公的な補助金や助成金を受けられるため、経営の安定化が比較的容易です。

ただし、認可を得るためには厳しい条件をクリアする必要があり、開業準備に時間と労力を要するため、ハードルは決して低くありません。

認可外保育園

認可外保育園は国や自治体の認可を受けていない施設で、保育内容や営業時間を柔軟に設定できるため、ニーズに応じた自由なサービス提供が可能です。

また、認可プロセスが不要なため迅速な開業が可能となっています。

しかし、認可外保育園は公的な補助金や助成金を受けられるケースが珍しく、自己資金での運営が基本となります。

自由な反面、保護者からの信頼を得るのが難しく、工夫が必要です。

信頼獲得のためにできる工夫は以下の通り。

  • 資格を持つ保育士を確保すること
  • 清潔で安全な施設環境を提供すること
  • 保育計画や活動内容を保護者に公開すること

柔軟な経営ができる一方で信頼を獲得するのは簡単ではないため、日々の健全な経営が必要となるでしょう。

 

保育園を開業するために必要な準備は?

次は、保育園を開業するために必要な準備について見ていきましょう。

1. 保育園の種類を決める

保育園の開業を検討中の方は、まず保育園の種類を決定することが重要です。

保育園には認可保育園、認証保育園、無認可保育園の3つの主要な種類があり、それぞれに特徴やメリット・デメリットが存在します。

認可保育園

国や自治体の基準を満たしており、助成金や補助が受けやすい一方、手続きが複雑で時間がかかる

▼認証保育園

都市部に限定され、地域のニーズに応じた柔軟な運営が可能ですが、助成金や補助の範囲が限定される

▼無認可保育園

規制が少なく、素早く開業できるものの安全性や信頼性の面で慎重な運営が必要となる

まずは経営のビジョンや地域のニーズを見極め、最適な保育園の種類を選ぶことが重要となるでしょう。

2. 保育施設・施設長を決める

次に理想的な立地条件を満たす施設や設備を考慮しましょう。

併せて、保育士資格を有していて実務経験が豊富な施設長も決定します。

適切な人材を確保することで保育園の品質を維持できるため、保育施設と施設長の選定には時間をかけたいです。

3. 事業計画書作成・提出・建築工事

事業計画書は、保育園の理念や運営方針、経営計画などを具体的に示す重要な書類です。

開業準備として確定した事業計画書を関係機関に提出し、審査を受けなければいけません。

審査通過後、保育園の建築工事を開始します。

建築工事は安全と快適さを確保するために慎重に進めることが求められる他、保育園を運営するために必要な資格や費用も念頭に置くことが欠かせません。

4. 保育士を採用・教育する

開業準備には保育士の採用と教育も欠かせないため、自社の教育ポリシーに沿った研修を行い、各自のスキルアップを図りましょう。

各自のスキルアップを行うことで質の高い保育サービスを提供することが可能となります。

ただし、保育士の採用・教育には時間がかかるので、早い段階から動くことが必要です。

5. 承認を受けたら開業

すべての準備が整い、関係機関からの承認を受けたら、いよいよ開業の日を迎えます。

開業日は事前に計画を立て、地域住民や保護者に効果的な広報活動を行いましょう。

例えば、地域の掲示板やSNSを活用して開業イベントを告知するのが効果的です。

また、保育園の開業準備に関する情報を提供することで、保護者の信頼を得ることができ、開業後のスムーズな運営に繋がるでしょう。

  

保育園を経営するために必要な資格・設置基準は?

次に、保育園を経営するために必要な資格・設置基準について見ていきましょう。

保育園を経営するために必要な資格

保育園を経営するためには、管理者や現場の保育士の資格が必要です。

保育園の管理者となるためには保育士資格が求められます。

保育士資格の取得方法には「保育士養成施設を卒業して国家試験を受けずに取得する方法」と「国家試験を受けて取得する方法」があるため、目標に合わせて取得しましょう。

なお、資格は現場で働く保育士全員が所有しているのが理想ですが、一定割合以上のスタッフが資格保有者であれば開業可能です。

ただし、家庭的保育や小規模保育の場合には他の専門資格も求められることがあるため、注意が必要となります。

保育園の設置基準

保育園を設置するためには、国や自治体が定めた基準を満たす必要があります。

以下は、一般的な設置基準の主なポイントです。

  • 施設の広さ
  • 設備の安全性
  • スタッフの配置
  • 衛生管理

保育室の面積は、1人あたり最低でも3.3平方メートルが必要です。

また、防火設備や適切なトイレの数など遊具や安全な環境作りのための設備も必要。

保育士も子供の年齢や人数に応じた基準があり、適切に配置される必要があります。

子供たちの健康を守るためには毎日の清掃や消毒など、徹底した衛生管理が求められるため、清掃スタッフなども必要となるでしょう。

 

保育園を経営するために必要な費用は?

次に、保育園を経営するために必要な費用について見ていきましょう。

初期費用

保育園を開業するためには、初期費用が発生します。

●物件購入費または賃貸費
⇒購入の場合:数百万円~数千万円
⇒賃貸の場合:月額賃料+前払い費用

●改装工事費:数百万円~数千万円

●備品購入費:数十万円~数百万円

●申請登録費:数万円~数十万円

●広告費:数十万円前後

条件によってどれくらいの費用が発生するのかは判断が難しいため、ここでは幅広い数字となっていますが、保育園開業の初期費用は合計で数千万円かかるのが一般的です。

運営費用

保育園の運営には、さまざまな費用がかかります。

●ローンまたは家賃:月に数万円~数十万円

●人件費:月に数十万円~100万円以上

●光熱費:月に数万円~数十万円

●消耗品費:月に数万円~数十万円

●保険料:月に数万円~数十万円

●保育費:月に数万円~数十万円

運営費用はランニングコストとなるため、一度支払って終わりではありません。

毎月固定費としてかかるものもあり、経営を圧迫する可能性が高いです。

そのため、どれくらいの費用がかかるのか把握しておきましょう。

 

保育園の経営に使える補助金・助成金は?

次に、保育園の経営に使える補助金・助成金について見ていきましょう。

就学前教育・保育施設整備交付金(旧保育所等整備交付金)

就学前教育・保育施設整備交付金(旧保育所等整備交付金)は、新たな保育施設の設立や既存施設の拡充・改修を支援する助成金です。

この交付金を利用することで、建築費や改修費用の一部が補助され、開業準備の初期投資負担を軽減できます。

保育所等改修費等支援事業

保育所改修費支援事業は、主に地方公共団体や社会福祉法人、医療法人、NPO法人などが対象となり、開業準備の大きな助けとなります。

保育施設の設備改善や増改築にかかる費用に対して助成金が提供されるため、初期投資を抑えることが可能です。

保育体制強化事業

保育園体制強化事業は、保育に関する周辺業務を行う者(保育支援者)の配置(月額10万円)に加え、登園時の繁忙 な時間帯やプール活動時など一部の時間帯にスポット的に支援者を配置する場合も補助(月額4.5万円)するものです。

保育所等におけるICT化推進等事業

保育所等におけるICT化推進等事業は、既存の保育所の改修・改善に関する補助金です。

この補助金は、老朽化した設備の改修やバリアフリー対応に加え、ICT化の導入やアップグレードも可能となっています。

ICT化により業務の効率化や保育の質の向上が図れるため、ぜひ活用したい補助金の1つと言えるでしょう。

 

保育園を経営するリスク・課題は?

次に保育園を経営するリスク・課題について見ていきましょう。

経営が軌道に乗るまで時間がかかる

保育園を開業した直後、保護者に認知されるまでには時間がかかり、すぐに定員を満たすことは難しいかもしれません。

特に、新興エリアや競合が密集している地域では、保護者が信頼性を確認するために時間が必要です。

そのため、開業準備や費用の見積もりにおいて、最初の数年間は赤字経営が見込まれることを考慮する必要があります。

まずは地元のコミュニティと連携しながら、保護者の信頼を得る努力を進めましょう。

保育士の確保が難しい

保育士不足が深刻な現状では、優秀な保育士の確保が難しいです。

まずは地域の保育士需要をリサーチし、労働条件や給与水準を競合他社と比較して魅力的なものに改善することが求められます。

また、効率的なマーケティング戦略も大切で、地域のイベントに参加する、チラシを配布する、SNSを活用するなど、保護者へのアプローチも積極的に行いましょう。

事故などの際に行政処分を受けることがある

保育園は事故の際に行政処分を受けるリスクがあります。

行政処分を受けた場合、経営が続けられなくなるリスクがあるでしょう。

そのため、延長保育や一時保育などのサービスを提供するなど、保護者のニーズに対応しつつも安全対策は怠らないようにしてください。

 

保育園の経営に成功する秘訣・方法は?

次に、保育園の経営に成功する秘訣・方法について見ていきましょう。

保育ICTシステムの活用で業務効率化

保育ICTシステムを導入することで、登園・降園管理、出席管理、保育記録、連絡帳のデジタル化が可能です。

これにより、日々の紙ベースの作業が削減され、保育士の負担軽減に繋がります。

また、情報の可視化とリアルタイムな共有が実現し、保護者とのコミュニケーションが円滑になります。

結果として、保護者との信頼関係の構築が見込めます。

ICTの導入は初期投資が必要ですが、長期的に見ると大幅なコスト削減が期待でき、業務効率も向上するため、ぜひ積極的に取り入れましょう。

保育補助、パート・アルバイトの活用で人件費抑制

保育補助やパート・アルバイトの活用により人件費を抑制可能です。

保育士資格を持たない保育補助員には資格が不要な業務を担当してもらい、資格を持つ保育士には専門的な業務を担当してもらうことで、各自が業務に集中できます。

併せてパートやアルバイトを活用すれば、柔軟な人員配置が可能となり、繁忙期や突発的な休暇にも対応しやすくなるでしょう。

保育士派遣の活用で採用コスト抑制

保育士派遣サービスを活用することで、人手不足を解決可能です。

派遣サービスを利用すれば、正社員の採用にかかる時間とコストを大幅に削減できます。

派遣保育士は契約期間が定められているため、必要な分だけ即戦力を確保できます。

派遣された保育士は既に経験とスキルを持っているため、追加の研修や教育の時間を省くことができ、急な欠員や一時的な人材不足にも迅速に対応可能です。

 

保育園を開業・経営するメリットは?

次に、保育園を開業・経営するメリットについて見ていきましょう。

ニーズがある

近年、共働き家庭の増加に伴い、保育園のニーズは高まっています。

特に都市部では待機児童問題が深刻であり、保育園の需要が急増中です。

保育園の開業は地域社会に大きな貢献を果たすと同時に、経営者にとっても有望なビジネス機会となるため、社会貢献とビジネスの両面で結果を残しやすいといえるでしょう。

低資金で開業できる

保育園の開業費用は、他の業態と比べて比較的少ない資金で開始できます。

中古物件やリノベーションされた施設を利用することで、設備投資を抑えつつ適切な環境を提供可能です。

経営を安定させやすい

保育園は長期的に安定収益が見込めます。

開業準備で必要な資格を取得すれば、一生もののスキルを手に入れたも同然です。

一度定員さえ埋まれば一定の収益が見込め、経営も安定するでしょう。

施設を利用してくれている方との信頼関係を築けば、評判が兄弟姉妹や親戚などに伝わり、リピート率が高まり、経営の安定化にも繋がるのではないでしょうか。

 

保育園開業の成功・失敗を左右するポイントは?

次に、保育園開業の成功・失敗を左右するポイントについて見ていきましょう。

中長期的な経営計画が立てられているか

保育園を開業する場合は、初年度に必要な資金や運営費を見積もり、次の3〜5年の収支計画を立てましょう。

市場調査を行い、地域の需要や競合状況を把握することも重要です。

この情報に基づいて、適切なターゲット設定や料金体系を決定することができます。

経営の安定化には常に新しいニーズに対応する柔軟性が求められるため、働く親のための延長保育や一時預かりサービスの導入も検討しましょう。

安全対策が万全か

保育園を開業する際、子供たちの安全を確保することが最優先となるため、施設内の環境整備に加え、緊急時の対応策を明確にしておくことが重要です

具体的には、防災設備や避難経路の整備、定期的な避難訓練の実施が挙げられます。

また、保育士にも応急手当や救急救命の訓練を受けさせることで、ケガや病気が発生した際に迅速かつ適切な対応が可能となるでしょう。

保育士が働きやすい環境か

保育士が安心して働ける環境を整えることは、保育園の存続に関わる要素となります。

そのため、働く人の給与や福利厚生を充実させることは欠かせません。

もちろん、労働時間の適切な管理や休憩の確保も欠かせないでしょう。

これを実現するためには、シフト制やチーム体制を導入し、働きやすい職場環境を整えることが必要です。

また、職場内のコミュニケーションを円滑にするために定期的なミーティングや研修を実施し、保育士同士が意見を交換できる機会を増やすことも重要です。

園内での人間関係は保育士のモチベーションを左右するため、誰もが働きやすい環境を整えることが必要となります。

 

保育園開業の失敗リスクを下げてしっかり儲けたいならフランチャイズがおすすめ!

次に、保育園開業におすすめのフランチャイズについて見ていきましょう。

ベビーパーク

「ベビーパーク」は、0歳から5歳までの子どもを対象にした早期教育プログラムを提供するフランチャイズです。

幼児教育に特化しており、質の高い教育効果が証明されています。

ベビーパークは確立されたプログラムとブランド力があり、加盟者には充実したサポートが提供されるため、開業準備もスムーズなのが魅力です。

独自の教育カリキュラムがあり、保育士や親たちからも高い評価を受けているだけでなく、全国に広がるネットワークによって安定した集客が見込めます。

チャイルド・アイズ

チャイルド・アイズは、一人ひとりの子どもに合わせた個別指導が特徴で、保護者からの信頼も厚いフランチャイズです。

プログラムは幼児から小学生までの幅広い年齢層を対象としており、継続的な成長をサポートするカリキュラムを提供しています。

その先進的な教育方針は本人だけでなく保護者の方からも高い評価を受けており、これから保育園開業を考えている方に最適と言えるでしょう。

加盟者向けのトレーニングや定期的なフォローアップを行う充実したサポート体制も備えているため、未経験者でも安心して運営に取り組むことができるのではないでしょうか。

 

まとめ

保育園は需要が尽きないとともに、社会貢献性のかなり強いビジネスモデルです。

実際都市部では待機児童も多い傾向にあり、保育園の開業は地域社会にとってもメリットの大きな出来事と言えるでしょう。

また、子供たちを預かり未来への希望を与える職務は何にも変え難いやりがいがあります。

開園に向けては色々な決め事や準備がありますが、是非ともチャレンジしていただきたいです。

当記事が参考になれば幸いです。

 

 

 

 

 

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#カケハシ 編集部

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